毎日少しずつ 忙しい私でもできる自己肯定感の育て方
忙しい日常で「自分はダメだ」と感じてしまう時
家事や育児、仕事、そして周囲との関係。私たちの日常は、やるべきことで溢れかえっています。そんな慌ただしい日々の中で、「もっとしっかりしなくては」「なぜ自分はこんなこともできないのだろう」と、知らず知らずのうちに自分を責めてしまうことはありませんか。
自分の時間がなかなか持てず、心に余裕がなくなると、「自分は誰かの役に立っているのだろうか」「このままで大丈夫だろうか」といった漠然とした不安や焦りを感じ、自己肯定感が揺らいでしまうことがあります。
しかし、自己肯定感は、特別な時間や大きな成果がなければ得られないものではありません。忙しい毎日の中でも、少しずつ育んでいくことができるのです。
なぜ、忙しいと自己肯定感が揺らぎやすいのか
忙しい状況では、私たちは往々にして「効率」や「完璧」を求めがちです。限られた時間の中で多くのことをこなそうとするあまり、できなかったことや小さなミスにばかり目が行きやすくなります。
また、自分の心身の声に耳を傾ける時間が減り、疲労が蓄積することで、ネガティブな感情にとらわれやすくなります。さらに、SNSなどで他者の「完璧に見える」日常を目にすることで、自分と比較し、「自分は全然できていない」と感じてしまうことも少なくありません。
このような状況が続くと、「自分は価値がないのではないか」といった否定的な思い込みが強まり、自己肯定感が低下してしまうのです。
忙しい中でも自己肯定感を育むシンプルなステップ
ここでは、特別な時間や労力をかけずに、日常の中で実践できる自己肯定感を高めるためのステップをご紹介します。
1. 「できたこと」に意識的に目を向ける習慣をつける
一日を振り返る際、ついつい反省点や心残りばかりに意識が向きがちです。しかし、どんなに忙しい日であっても、必ず何か「できたこと」があるはずです。
例えば、「朝、予定通りに起きられた」「子どもにご飯を食べさせられた」「洗濯機を回した」「一杯のお茶をゆっくり飲んだ」など、些細なことでも構いません。完璧でなくても、やり遂げたこと、行った行動に意識的に目を向け、「これもできたな」と心の中で認めてあげてください。
寝る前に手帳に一行だけ書き出す、心の中で三つだけ挙げてみる、といった方法も有効です。小さな「できた」を積み重ねることで、自分は何もできていないわけではない、と実感できるようになります。
2. 自分の感情や感覚に「気づく」瞬間を持つ
忙しさに流されていると、自分が今何を感じているのか、どんな状態なのかを見失いがちです。意識的に立ち止まり、数秒でも自分の内側に意識を向ける時間を持つことで、自分自身とのつながりを感じることができます。
例えば、
- 洗い物をしながら、水の温かさや洗剤の香りに意識を向ける
- 通勤中や移動中に、呼吸に意識を向けてみる
- 休憩時間に、飲み物の味や温かさをじっくり味わう
このように、五感や体の感覚に意識を向ける短い時間を持つことは、今この瞬間の自分を受け入れる練習になります。これは、ありのままの自分を肯定することにつながります。
3. 自分自身に優しい言葉をかけてみる
他人に対して優しく接するように、自分自身にも優しい言葉をかける習慣を取り入れてみましょう。何かうまくいかなかった時や疲れている時に、心の中で「大丈夫だよ」「よく頑張っているね」「完璧じゃなくてもいいんだよ」と語りかけてみてください。
自分自身への批判的な内なる声を自覚し、それを労いや肯定の言葉に置き換える練習です。最初は不慣れに感じるかもしれませんが、繰り返すことで、自分に対する見方が少しずつ変わってきます。
4. 小さな休息を自分に許す
忙しいからと休息を後回しにせず、積極的に小さな休息を挟むことを自分に許可してください。たとえ5分でも10分でも、意識的に手をとめて休憩することは、心身の回復につながり、余裕を生み出します。
「休んでいる場合ではない」という気持ちになるかもしれませんが、休息は決して怠惰ではなく、パフォーマンスを維持し、心を健康に保つために必要な時間です。自分に休息を許可することは、「大変な状況にいる自分」を認め、大切に扱う行為であり、これも自己肯定感を高める一歩となります。
継続するためのヒント
これらのステップを日常に取り入れるためには、完璧を目指さないことが大切です。まずは一つだけ、できそうなことから始めてみてください。そして、毎日必ず行う必要はありません。できる時に、できる範囲で実践することが、長続きさせる秘訣です。
もし忘れてしまっても、自分を責めないでください。「また今日から始めよう」と、何度でも再開すれば良いのです。
まとめ
忙しい日々の中で自己肯定感を維持し、育むことは容易ではありません。しかし、特別な時間や場所は必要なく、ご紹介したような日常生活の小さな瞬間を使って実践できるステップがあります。
「できたこと」に目を向け、自分の感覚を味わい、自分に優しい言葉をかけ、小さな休息を許す。これらのシンプルな行動は、慌ただしい日常の中に「自分を大切にする時間」を作り出し、揺らいだ自己肯定感を少しずつ立て直していく助けとなるはずです。
今日からできることから、一つ試してみてはいかがでしょうか。きっと、あなたの心が少しずつ軽くなり、自分自身に対する見方が温かいものに変わっていくことを感じられるでしょう。あなたは、忙しい毎日の中でも、十分に価値のある存在なのですから。