心がふっと軽くなる 忙しい日常で「よかったこと」に気づく習慣
忙しい日常でつい見落としがちな「よかったこと」
子育てや仕事、家事と、私たちの毎日は様々なタスクに追われ、あっという間に一日が過ぎていきます。そんな中で、つい「あれができなかった」「もっとこうすればよかった」と、できていないことや気になることばかりに目が行き、心が重くなることはありませんでしょうか。
特に忙しい日々が続くと、心に余裕がなくなり、小さなことにもイライラしたり、漠然とした不安を感じやすくなったりするものです。しかし、実は私たちの日常の中には、心を温かくしてくれる小さな「よかったこと」がたくさん存在しています。それに気づく習慣を身につけることが、心の健康を保ち、前向きな気持ちを育む上で非常に大切です。
なぜ「よかったこと」に目を向けることが大切なのか
私たちの脳は、ネガティブな情報に注意を向けやすいという性質を持っています。これは、危険を回避するために進化の過程で培われた機能ですが、現代社会においては、不安や心配を過度に増幅させてしまう原因にもなり得ます。
一方で、意識的にポジティブな側面に目を向ける練習をすることで、脳の働き方を変え、幸福感を感じやすくなることが心理学の研究でも示されています。毎日の「よかったこと」に気づく習慣は、小さなポジティブな出来事を認識する力を高め、困難な状況に直面した際の心の回復力(レジリエンス)を育む助けとなります。
これは、特別な出来事を探すことではなく、普段の生活の中にあるささやかな良い点に光を当てる作業です。例えば、朝食が美味しかった、子供が笑顔を見せてくれた、天気が良かった、一つ用事を済ませられたなど、どんなに小さなことでも構いません。
日常で「よかったこと」に気づく具体的な習慣
忙しい毎日でも簡単に取り入れられる、「よかったこと」に気づくための具体的な習慣をいくつかご紹介します。
1. 寝る前に「よかったこと」を3つ書き出す
これは「三つの良いこと」として知られる簡単な習慣です。寝る前に、その日の出来事を振り返り、良かったことや感謝できることを3つだけ書き出します。ノートに手書きでも、スマートフォンのメモ機能を使っても良いでしょう。
- 例:
- 子供が自分から宿題を始めた
- スーパーで欲しかった食材が安かった
- 温かいお茶をゆっくり飲む時間があった
この習慣は、一日をネガティブな気持ちで終えるのではなく、ポジティブな出来事に焦点を当てて締めくくる助けとなります。続けることで、日中から「何か良いことはないかな」と意識するようになり、自然と良い点を見つけやすくなります。
2. 五感を使い「今」を感じる時間を設ける
私たちはしばしば、過去の後悔や未来の不安に心を奪われがちです。意識的に「今、ここ」に注意を向けるマインドフルネスの考え方は、「よかったこと」に気づく力を高めます。
- 食事をする際に、一口ごとに味や香り、舌触りを意識する。
- 外を歩く際に、空の色や風の匂い、聞こえる音に耳を澄ませる。
- 子供や家族の寝顔を見つめ、その温かさや穏やかさを感じる。
五感を通して目の前の現実に意識を向けることで、普段は見過ごしてしまうような日常の小さな豊かさに気づくことができます。これは短時間でも実践可能です。
3. ネガティブな情報から意図的に距離を置く
スマートフォンやインターネットは便利な反面、ネガティブなニュースや、他人の「良い面」だけを見せるSNSなどに触れる機会が多くなりがちです。これらは無意識のうちに私たちの心に影響を与え、不安や自己否定感を煽ることがあります。
- SNSを見る時間を制限する。
- 比較して落ち込んでしまうような情報は、意識的に見ない選択をする。
- 心が疲れていると感じたら、デジタルデバイスから離れる時間を作る。
自分が触れる情報をコントロールすることも、「よかったこと」に目を向けるための大切なステップです。心のエネルギーを、ネガティブな側面に使うのではなく、ポジティブな探求に向けることができます。
4. 「当たり前」の中にある感謝を見出す
健康であること、雨風をしのげる家があること、食事ができること、愛する家族がいること。これらは私たちの日常にとって基本的なことですが、意識しなければ「当たり前」として見過ごしてしまいます。
- 今日一日、無事に過ごせたことに感謝する。
- 家族が健康であることに感謝する。
- 食卓に並ぶ食事に感謝する。
「当たり前」の中に感謝を見出すことは、今あるものの豊かさに気づき、満たされた気持ちを育むことにつながります。
継続するためのヒント
これらの習慣を続ける上で大切なのは、完璧を目指さないことです。毎日できなくても、週に数回から始めてみたり、調子が乗らない日は1つだけ見つけてみたりと、無理なく自分のペースで行うことが重要です。
また、家族や友人と「今日あったよかったこと」を話し合ってみるのも良い方法です。アウトプットすることで、よりポジティブな感情が定着しやすくなります。
小さな一歩が心の変化につながる
忙しい日々の中で「よかったこと」に気づく習慣は、劇的に人生を変えるような大きな出来事ではありません。しかし、この小さな積み重ねが、心のフィルターを変え、日常の中に隠された光を見つけ出す力を養います。
不安を感じやすい方にとって、ネガティブな側面に意識が向きやすいのは自然なことです。ご自身を責める必要はありません。ただ、少しだけ意識を「よかったこと」に向けてみる練習を始めてみてはいかがでしょうか。毎日のささやかな良い出来事に気づくことが、心を軽くし、少しずつ前向きな考え方を育んでいく確かな一歩となるはずです。
今日から、あなたの日常に隠された小さな宝物を探し始めてみましょう。